1.FREBAS変換とは

FREBAS変換とは,2通りのフレネル変換を使用し,
 (1) 画像からフレネル変換信号
 (2) フレネル変換信号から画像
への変換をそれぞれ別のフレネル変換を使用して行う方法です. フレネル変換信号空間を等間隔で分割し,その分割信号ごとに再構成した画像が得られることから,Fresnel BAnd Splitの頭文字をとってFREBASと呼んでいます.FREBAS変換の応用としてフーリエ変換信号空間の帯域を等間隔に分離したeFREBASという方法を提案しています.

FREBAS変換は,およそ周波数帯域を分割しながら画像を展開,分離するウェーブレット変換に似た操作となります.一般的なウェーブレット変換と異なる点は下記の点があります.
 (1) 周波数帯域の分割がおよそ等間隔
 (2) 展開する画像数は,任意の数を選ぶことができる.実数も可能です.
 (3) 画像を意味する空間で画像を分離できる.
 (4) 実数値データであっても,展開像は複素数データとなる.
 (5) ウェーブレット変換のマザーウェーブレットやスケーリング関数の設計は必要なく,フーリエ変換と2次の位相変調処理のみで実現できる.

完全な可逆変換ですので,変換により失われる成分はありません.

下記の図はFREBAS変換の信号処理図を解説したものです.この場合は画像が1/5に縮小されるD=2相当ですが,任意のスケールで縮小することができます.


      入力画像                フレネル変換信号            FREBAS変換(D=1/5)

                   フレネル変換を使用したFREBAS変換の信号処理図

2. FREBAS変換の画像処理応用

2.1 雑音除去処理
 FREBAS変換では,画像を構成する成分のおうち,画像の輪郭情報が分離される形式となります.そのためFREBAS変換空間では,画像情報は局所的に集中した分布となり,一方で雑音は個々の分割帯域で入力画像の分布を保持します.白色雑音であれば,FREBAS変換空間でも白色雑音となります.
 
この空間で,雑音を処理すると,効果的に雑音を除去することが可能となります.FREBAS変換を利用した雑音除去法の特徴には以下のものがあります.
 (1) 高いS/N改善度が得られる.
 (2) 画像の詳細構造を残したまま雑音除去処理を行うことができる.とくに雑音処理による劣化は少ない.

 一方,問題点としてウェーブレット変換処理にもみられるように雑音除去の方法によっては雑音除去像の上に局所的に強く残留する雑音が残ることがありましたが,現在は,雑音処理法を改良し,その問題は,ほぼ解決しています.雑音除去ギャラリーでは雑音処理例を示します(本処理は最新のもので未発表).

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