Visual Studio 2010 統合開発環境を用いたコンパイル方法

このページでは、Microsoft 社の Visual Studio 2010 (VS2010)統合開発環境の基本的な使用方法について学びます.

Z:\test\hello フォルダに、hello.c というソースファイルひとつを含む hello プロジェクトを作成し、コンパイル、実行までの流れを説明します.

1. Visual Studio 2010 の起動

[スタート]ボタンから[すべてのプログラム]->[Microsoft Visual Studio 2010]->[Microsoft Visual Studio 2010] をクリックします.

初回起動時に,用意された複数の環境設定のうちどれかを選択することができます.環境設定が異なると,画面レイアウトやキーボード操作の方法が異なってきます.

[Visual C++開発設定]を選択して[Visual Studio の開始]をクリックしてください.演習では,[Visual C++開発設定]をもとに説明をしていきます.

初回のみ,環境設定のために数分間かかります.

2. ソリューションとプロジェクト

 プロジェクト

Visual Studio 2010 では,ひとつのプログラム(実行ファイル)を作成するのに必要な情報を(あるいはその情報を格納したファイル)をプロジェクトと呼びます.プロジェクトには,ソースファイル名や,コンパイルの方法(コンパイルオプション)などの情報が含まれています.ひとつのプログラムを作成するには,ひとつのプロジェクトを用意する必要があります.

ソリューション

最近の製品レベルのプロダクトでは,ひとつのプログラム(実行ファイル)だけで商品が成り立つことは少なく,複数のプログラムや周辺のコンポーネントで構成されています.Visual Studio 2010では,このような複雑なシステムの開発に役立つように,ソリューションという枠組みが用意されています.ソリューションとは,複数のプロジェクトをまとめて管理するための情報です.

演習課題では,プログラムごとに,ひとつのプロジェクトを含んだソリューションをそのつど作って管理するようにします.

3. ソリューションとプロジェクトの作成

プロジェクトの新規作成

  1. [ファイル]メニューから[新規作成]->[プロジェクト]をクリック.
  2. [新しいプロジェクト]ダイアログが開く.
  3. [Win32 コンソール アプリケーション] を選択.
  4. [場所] に、プロジェクトを作成するディレクトリを指定する。この説明ではZ:\prog ディレクトリを指定.
  5. [名前]には、作成するプロジェクトの名前を入力する。作成される実行ファイル名はデフォルトで、このプロジェクト名と同一になる。
  6. [ソリューションのディレクトリを作成]のチェックをはずす.
  7. ダイアログの項目が以下の図のとおりになっていることを確認し、[OK]ボタンをクリックする.




 

    9. アプリケーションウィザードが開始されるので,[次へ]をクリック.

 

    10. [アプリケーションの設定]ダイアログで,[空のプロジェクト]にチェックを入れ,[完了]ボタンをクリック.

 

以下のようなダイアログが表示されるので、[OK]を押す。[今後、このメッセージを表示しない]にチェックを入れてもよい。

 

プロジェクトが作成されると、ウインドウ左側のソリューションエクスプローラに、 hello プロジェクトを含んだ hello ソリューションの様子が表示される。

4. プロジェクトへのソースファイルの追加

次に、ソースファイルを新規作成し、プロジェクトに追加する。

[プロジェクト]メニューから[新しい項目の追加]をクリックし,[新しい項目の追加]ダイアログを開く.

 

左側のペインのカテゴリから[コード]を選択.右側のテンプレートから[C++ファイル(cpp)]を選択.

ファイル名に hello.c と入力し、[OK]ボタンを押す。

 

 ※) C言語のソースファイルには .c の拡張子を,C++言語のソースファイルには .cpp の拡張子をつけます.

プロジェクトにソースファイルが追加されたことを、 ソリューションエクスプローラで確認します.

誤って余計なソースファイルをプロジェクトに追加してしまった場合には,そのファイルを選択して Delete キーを押すことで削除することができます.

5. ソースコードの編集とビルド・実行

ソースコードの編集

ソリューションエクスプローラからソースファイルをダブルクリックすると,ソースエディタ が開かれるので,コードを入力する.

※ インデント(字下げ)は、TABを入力することで行うこと。

 ビルド

ソースの編集が終了したら、[ビルド]メニューの[ソリューションのビルド] をクリックしビルドを行う。([F7]キーを押しても良い。)

Vsual Studio では、ソースファイルの変更に伴うコンパイル、リンクの作業をビルドと呼んでいます。ビルドの結果は、下側の[出力ウインドウ]に表示され ます。ビルドが正常に終了した様子を以下に示します.

 

エラーの修正

ソースコードの記述の誤りなどでコンパイル・リンク中にエラーが発生した場合には、出力ウインドウにエラーメッセージが表示される。(下図)

このとき、出力ウインドウのエラー表示されている行をダブルクリックすると、ソースコードの対応位置へジャンプすることができます.

ソースコード中のセミコロン(;)を削除するなどわざとソースコードにエラーを入れた後にビルドを行 い,出力ウインドウのエラーメッセージから、ソースの対象位置にジャンプできることを確認してみる.

プログラムの実行

[デバッグ]メニューの[デバッグなしで開始]をクリックし、完成したコンソールアプリケーションを実行する。(Ctrl+F5キーでもよい)

プログラムの実行が終了すると、"Press any key to continue " のメッセージを表示して一時停止するので、実行結果を確認したら、任意のキーを押してウインドウを閉じる。

以前作成したソリューションを開く

 このようにして作成したソリューションの情報は,.sln という拡張子のファイルに保存されています.helloフォルダの中をのぞいてみると,作成したソースファイルといっしょに,hello.sln という名前のファイルが保存されています.

次回,hello ソリューションを開く時には,エクスプローラから hello.sln ファイルをダブルクリックするか,Visual Studioを起動して,[ファイル]メニューの[開く]->[プロジェクト/ソリューション] から,hello.sln ファイルを選択します.